監督のようにプロンプトを書き、一カットずつMVを撮る
AIミュージックビデオの上限は、その裏側にあるプロンプトの上限です。これは一曲を「映像化」するための実践ガイド。ショットの公式、カメラの言葉、編集をビートに乗せるコツ、そして最初のフレームから最後のフレームまで歌い手を同じ人物に保つ方法までまとめました。
「キャプション」をやめ、「ショットリスト」を書こう
AIミュージックビデオを生まれ変わらせるのは、たいてい高性能なモデルではなく、より良いプロンプトです。
多くの人は一曲を、キャプションを書くように描写します。「雨の中で悲しげな少女、シネマティック」。これではモデルが本当に大事なことをすべて推測するしかありません。彼女が誰なのか、何をしているのか、カメラはどこに置くのか、光はどう当たり、カットはどこで決まるのか。ミュージックビデオのプロンプトはその逆です。あなたはAIにショットリストを手渡します。明確な被写体、正確な動き、フレームを決めたカメラワーク、定めた画風、そして一つ二つの制約。運任せをやめ、演出を始めるのです。
雨の中で悲しげな少女、シネマティック、エモーショナル、美しい、4k
ミディアムショット。ずぶ濡れのグレーのコートを着た若い女性が街灯の下に立ち、ゆっくりと顔を伏せ、雨が頬を伝う。カメラはやわらかく前進してクローズアップへ。冷たい青い夜の光、濡れたアスファルトに映るやわらかな反射、シネマティックなフィルムの質感。画面に文字なし。
同じアイデアでも、片方は結果を運任せにし、もう片方は頭に描いたショットを手にします。
ショットプロンプトの解剖図
8つの構成要素を、おおむねこの順番で。毎回すべて書く必要はありません。ただ固定する要素が多いほど、AIが勝手にアレンジする余地は減ります。
被写体 + 動作 + シーン + 光と色 + カメラ + スタイル + 画質 + 制約1 · 被写体
画面に映るのは誰か、何か。服装・髪・年齢・種類など、安定した視覚的特徴を二つ三つで固定し、AIが認識してカット間でぶれないようにします。
赤いシルクのドレスに麦わら帽子をかぶった若い女性
2 · 動作
被写体が何をするかを、体の部位と程度で書きます。「動く」より「手を上げる」。激しい動きより、ゆっくり連続したつながりのある動きを優先すると、はるかにきれいにレンダリングされます。
ゆっくり顎を上げ、窓のほうへ顔を向ける
3 · シーン
どこで起きるか、被写体の周りに何があるか。場所、時間帯、そして世界をつくる前景と背景の要素。
夜、ネオンに照らされた屋上の通路、背後で明滅するホログラム広告
4 · 光と色
情緒はここに宿ります。光の方向、暖かさ、色調を名指しで。同じシーンでも、この一行でロマンスにも不安にも読めます。
暖色のゴールデンアワー逆光、やわらかな影、アンバーとティールの配色
5 · カメラ
どう撮るか。ショットサイズと一つのカメラワーク。これが平凡なクリップと演出されたフレームの違いです。1カットにつきカメラワークは一つに。
ワイドショットからクローズアップへゆっくり前進
6 · スタイル
全体の美術方向。実写、2Dアニメ、3Dアニメーション、水墨画、クレイアニメ、ピクセルアート。必ず明記しないと、リアルな参考写真が静かにすべてを実写へと引っ張ります。
2Dアニメ風、手描き、セルシェーディング
7 · 画質
仕上がりの質感。解像感、テクスチャ、そして焼き込みたいシネマティックな質。短い定番フレーズで十分です。
高精細、豊かなディテール、フィルムの質感、自然な色
8 · 制約
入れたくないもの。最も役立つ否定指定は、余計な文字・ウォーターマーク・Logoをフレーム外に追い出し、画風のブレを止めることです。
字幕なし、ウォーターマークなし、Logoなし
カメラの言葉で語ろう
AI動画モデルは標準的な映像用語に正確に反応します。この語彙を覚えれば、どんなショットも数語でフレーミングできます。鉄則は、1カットにつきカメラワークは一つ。前進・パン・ズームを一行に詰め込むと画面がぶれます。
カメラワーク
前進(プッシュイン)
カメラが被写体へ近づく。親密さや緊張を高める。サビのクローズアップの主役となる動き。
後退(プルバック)
カメラが引いて状況を見せる。「種明かし」や、一節の終わりに画面を一息つかせるのに最適。
パン
固定点でカメラが左右に振れる。ステージや群衆、スカイラインを横に流す。
ティルト
カメラが上下に振れる。足から顔へ上がる、空から街路へ下りる。
トラッキング / ドリー
カメラが被写体と並んで移動する。歩きながら歌うエネルギーを生み、動く歌い手を常にフレームに収める。
オービット(旋回)
カメラが被写体の周りを回る。180°や360°の弧で被写体を見せつける。フックにぴったり。
クレーン / ブーム
カメラが空間を上昇・下降する。ワイドへ上げてスケールを出すか、アクションへ下りる。
ズーム
焦点距離を変えて拡大・圧縮する。素早いズームはビートを際立たせ、ゆっくりしたズームは不安を加える。
ショットサイズ
エクストリームワイド
広大な世界の中で小さな被写体。場所とスケールを示す、一曲の定場ショット。
ワイド / フルショット
全身がフレームに入る。振り付けや全身の動きに最適なサイズ。
ミディアム
腰から上。会話的なデフォルト。体の言葉と表情を一緒に読み取れる。
クローズアップ
顔がフレームを埋める。感情、リップシンク、サビの決めショット。
ディテール / マクロ
ただ一つのディテール。瞳、弦を押さえる手、こぼれる涙。リズムと質感のカットに。
アングル & 視点
アイレベル
中立で地に足のついた目線。観客は被写体と対等に出会う。
ローアングル(あおり)
カメラが見上げる。被写体を力強く、英雄的に、実物以上に大きく見せる。
ハイアングル(俯瞰)
カメラが見下ろす。被写体を小さく、もろく、迷子に見せる。
オーバーザショルダー
一人の肩越しにもう一人へ。つながり、対話、二人のあいだの緊張。
POV / 一人称
被写体自身の視界。観客をその瞬間の内側へ引き込む。
空撮 / ドローン
高みから見下ろす。広大な風景、群衆、壮大なアウトロ。
プロのコツ。1カットにつきカメラワークは一つ。前進と旋回の両方が欲しい?なら2カットに分けて間でカットする。カットそのものが音楽の一部です。
動かそう — そして感じさせよう
動作をどう描写するかが、ショットを「生きている」ものにするか「ちらつく写真」にするかを決めます。きれいな動きと溶けた混沌を分けるのは、4つの習慣です。
体の部位まで具体的に
部位と程度を名指しで。「ゆっくり右手を上げる」「頭を数度かしげる」「足を強く踏みしめる」。「動く」「踊る」のような曖昧な動詞は混乱を招くだけです。
ゆっくり連続した動きを優先
やわらかくつながった微細な動きは美しくレンダリングされます。爆発的な疾走、大きなジャンプ、激しい回転は歪みがち。激しさはカットに取っておき、1カットに詰め込まないこと。
つなぎを書く
前の動作を次へつなげ、動きに勢いを持たせます。「振り向く勢いを使って腕を上げる」のように。無関係な二つのポーズの羅列にしないこと。
感情を外に出す
「彼女は悲しい」とは書かない。悲しみを表す体を書く。モデルは形容詞をレンダリングできませんが、震える肩ならレンダリングできます。
一曲をショットリストに変える
ミュージックビデオは一つのプロンプトではなく、シーケンスです。曲をセクションに分け、それぞれに専用のショットを与えます。タイムライン思考で。誰が、どこで、何をして、カメラがどう動くか、起きる順に並べましょう。
一本の動画全体にプロンプトを書く最も確実な方法は、ショットに番号を振ることです。ショット1、ショット2、ショット3。順番に一つずつ描写し、曲の構成に対応させて、音楽が転じるところで映像も一緒に転じさせます。
イントロ
世界を立ち上げる。定場のワイドかゆっくりしたディテールで、ボーカルが入る前に観客を「到着」させる。
Aメロ
物語を語る。ミディアムショット、歩きながら歌うトラッキング、シーンを進む被写体。
盛り上げ / プレサビ
緊張を引き上げる。前進し、構図を締め、エネルギーが集まるにつれてカットを速くする。
サビ / ドロップ
約束を果たす瞬間。クローズアップ、旋回、最も大胆な光と最大の動き。みんなが覚えているあのショット。
ブリッジ / アウトロ
解放、あるいは収束。ワイドへ引き、光を落とし、最後の一枚に余韻を残す。
どのショットにも4つのレイヤー
カメラ
動きやカットの仕方。「ワイドからゆっくり前進」「固定フレーム」「クローズアップへカット」。
被写体と表情
この拍での鍵となる動作と、表情の変化。
空間
被写体がどこにいて、周りのシーンがどう変わるか。
音とビート
このショットに何が落ちるか。ダウンビート、ドロップ、心に刺さる一節。
カットは秒数ではなくビートに合わせます。順番に何が起きるかを描写し、カットをリズムに乗せましょう。正確な秒数を固定する(「0〜3秒」)とモデルを混乱させ、仕上がりを壊しがちです。
歌い手を同じ人物に保つ
カットごとに顔が変わることほどMVを台無しにするものはありません。参照画像と規律あるプロンプトで、キャラを最初のフレームから最後までロックします。
2〜3個の特徴でアイデンティティを固定
衣装、髪、象徴的な小物など、安定して見間違えようのない特徴で被写体を描写します。言及するたびに、まったく同じ描写を使い回しましょう。
クローズアップ + 全身を使う
きれいな頭と肩のポートレートが顔を固定し、全身ショットが衣装とプロポーションを固定します。二枚そろえば、一枚よりはるかにアイデンティティを保てます。
大事な参照を一番前に
参照は早く出るほど重みを持ちます。このショットで最も重要な一枚を先頭に置きましょう。
参照を盛りすぎない
画像は多ければ良いわけではありません。競合する参照が多すぎると、AIの「何が大事か」の感覚がぼやけます。強く明確な二、三枚が、弱い大量の画像に勝ります。
SunoMVでは、キャラやロケーションを「シーン参照」として保存し、各ショットのプロンプトをそこに向けられます。だから同じ歌い手が、毎回描写し直さなくても曲の全行を貫きます。
AIミュージックビデオを台無しにする失敗
がっかりする結果のほぼすべては、以下のどれかに行き着きます。早く見抜けば、的中率は一気に上がります。
アイデンティティのブレ
カット間で顔が変わる。きれいなクローズアップ参照、一貫した2〜3個の特徴描写、そして鍵となる参照を一番前に置くことで直します。
画面に余計な文字
ランダムな字幕や文字化けが出る。「字幕なし、文字なし」を加え、横画面を優先しましょう。縦フレームは余計な文字が出やすいです。
画風のブレ
アニメのつもりが実写でレンダリングされる。スタイルを明記し、強い画風が欲しければ、すでにその画風の参照画像から始めましょう。
意図しない双子
同じ人物がフレームに二度現れる。各被写体をそれぞれの参照に結びつけ、「外見の同じ重複人物を禁止」する制約を加えます。
動きが多すぎる
速く激しい動作は顔や手足を歪めます。大きな動きをカットに分け、1カットずつ落ち着いて連続させましょう。
参照の過積載
競合する5枚は結果を濁らせます。強い参照を二、三枚使い、あとはプロンプトに任せましょう。
正確な秒数の固定
ハードなタイムコード(「2秒でカット」)は生成を不安定にします。順番を描写し、カットはビートに乗せましょう。
一行の中で言語を混ぜる
一つのセリフの中で言語を切り替えると発音が乱れます。各行は一つの言語で。よくある単語ほどきれいにレンダリングされます。
3つのプロンプト、最初から最後まで
骨格をまねて、あなたの曲を当てはめてください。どの作例も、今日そのまま貼れるマルチショットのプロンプト。上の構成要素から組み立てています。
メランコリックなインディーバラード
親密で、雨に濡れ、一人のキャラ、ゆっくりとエモーショナル。スタイル: シネマティックな実写、冷たいフィルムの質感。被写体: ずぶ濡れのグレーのコートを着た若い女性、濡れた黒髪が顔に貼りつく。ショット1 — 定場のワイドショット、夜の人気のない通り、アンバーの街灯の下に雨が降り、彼女はフレームの中で小さく立つ。ゆっくり前進。ショット2 — ミディアムショット、彼女はゆっくり顔を伏せ、雨が頬を伝い、吐く息が見える。ショット3 — クローズアップ、一滴の涙が浮かぶがこぼれず、彼女の視線は光のほうへ上がる。冷たい青の色調、濡れたアスファルトのやわらかな反射、高精細、フィルムの質感。字幕なし、ウォーターマークなし。
効く理由: ロックした一人のキャラ、三段階で高まるショットサイズ、1カットにつき一つのカメラワーク、体で外化する感情、そしてきれいな制約の一行。
アップビートなシンセポップ
明るく、躍動的で、色が弾け、サビのドロップを軸に構成。スタイル: 鮮やかな3Dアニメーション、艶やかでカラフル。被写体: ネオンのトラックスーツに白いスニーカーのダンサー。ショット1(Aメロ) — ミディアムのトラッキングで、色面で区切られた廊下を陽光の中で進む彼女を追う。ショット2(盛り上げ) — ローアングル、彼女がしゃがむのに合わせて前進し、光が明るく脈打つ。ショット3(サビのドロップ) — 彼女が両腕を突き上げると360°旋回、紙吹雪が弾け、飽和したピンクとシアンの光。きびきびと、エネルギッシュに、高精細。画面に文字なし、Logoなし。
効く理由: ショットが曲のセクションに対応し、最大の動きと最も明るい光をドロップに取っておき、エネルギーは慌ただしい1カットではなくカットの中に宿っている。
シネマティックなサイバーパンク / ヒップホップ
スタイリッシュ、ネオン、陰鬱、実物以上のスケール。スタイル: 3DサイバーパンクSFアニメーション、冷たい青紫の配色。被写体: 発光する縁取りのある黒いフード付きジャケットのアーティスト。ショット1 — 空撮ドローンが、夜の雨に濡れたネオンの都市へ降下する。ショット2 — ローアングルのミディアムショット、彼はホログラム広告の中をカメラへ向かって歩き、頭を上げてレンズを迎える。ゆっくりトラッキング。ショット3 — クローズアップ、ネオンの反射が彼の顔を滑り、彼はフックを口ずさむ。固定フレーム。陰鬱なボリューメトリックライト、深い影、フィルムの粒状感。字幕なし、ウォーターマークなし、Logoなし。
効く理由: 明記された強いスタイルがシーケンス全体を束ね、ローアングルが存在感を生み、各ショットがちょうど一つの動きだけを使っている。降下、トラッキング、固定。
ひと画面まとめ
上の内容を凝縮しました。スクショして、プロンプト入力欄のそばに置いておきましょう。
被写体 + 動作 + シーン + 光と色 + カメラ + スタイル + 画質 + 制約やること
- キャプションではなく、ショットリストを書く。
- 2〜3個の安定した特徴で被写体を固定し、使い回す。
- 1カットにつきカメラワークは一つ。残りはカットで。
- 感情は形容詞ではなく体で外化する。
- ショットを曲のセクションに対応させ、カットをビートに合わせる。
- 最後は制約で締める。文字なし、ウォーターマークなし、Logoなし。
やらないこと
- 前進 + パン + ズームを1カットに詰め込まない。
- 正確なタイムコードを固定しない。
- 1カットで激しく爆発的な動きを要求しない。
- 競合する参照画像でプロンプトを過積載にしない。
- リアルな参照の隣でスタイルを書き忘れない。
- 一つのセリフの中で言語を切り替えない。
ミュージックビデオ プロンプト よくある質問
ミュージックビデオのプロンプト設計とは?
一曲をAI動画モデルに描写し、頭に描いたとおりのショットを返してもらう技術です。曲の各パートに被写体・動作・カメラワーク・光・スタイルを選んでいく。曖昧な描写を打ち込んで運任せにするのではなく。うまくやれば、ありきたりなクリップと演出されたMVの違いになります。
良いプロンプトを書くには映像用語を知る必要がありますか?
知っていると助かりますし、すぐ覚えられます。前進、パン、クローズアップ、ローアングル。このページの語彙で、生涯使う分のほとんどをカバーできます。AIモデルはこれらの標準用語に正確に反応するので、数語でショット全体をフレーミングできます。
同じキャラを動画全体で保つには?
参照画像を使います。理想はきれいなクローズアップに全身ショットを添えること。そして毎回同じ2〜3個の特徴でキャラを描写します。SunoMVではキャラを「シーン参照」として保存し、各ショットをそこに向けられるので、最初の一行から最後まで一貫します。
AIミュージックビデオにランダムな文字や字幕が出るのはなぜ?
モデルは時々、画面の文字を勝手に作り出します。プロンプトに「字幕なし、文字なし」のような制約を加え、横画面を優先しましょう。縦動画は余計な文字が出やすいです。あとから縦に切り抜くこともできます。
長いプロンプトを一つ書くべきですか、それとも複数のショットに分けるべきですか?
複数のショットです。ショット1、ショット2、ショット3と番号を振り、順番に描写して曲のセクションに対応させます。明確なショットの連なりは、一段落で何もかも一度にやろうとするよりはるかに確実です。
動作が溶けたり歪んだりして見えるのはなぜ?
たいてい1カットに動きが多すぎるからです。ゆっくり連続した、体の部位まで具体的な動きを優先し、大きな動作はカットに分けましょう。落ち着いたショットをつなげば高エネルギーに見えますが、慌ただしい1カットはただ歪みます。
これらのテクニックはどのAI動画モデルでも使えますか?
使えます。この公式 — 被写体、動作、シーン、光、カメラ、スタイル、制約 — は普遍的な技術です。SunoMVでは複数の先進的な動画モデルから選んで自由に切り替えられますが、プロンプトの書き方はそのすべてに通用します。
SunoMVでは具体的にどこでやるのですか?
曲を貼るか新しく作り、エディタを開きます。歌詞の各行が、それぞれ個別にプロンプトを書けるショットになり、シーン参照でキャラとロケーションを一貫させられます。無料で始めて、下から最初の動画を演出しましょう。